ご自身や生い立ちについての自己紹介をお願いします。ご出身はどちらですか?
植田リサです。ソロ・ヴァイオリニストとしてロンドンを拠点にしておりますが、ヨーロッパの他の地域やアジアでも頻繁に活動をしています。
生まれと育ちは北大阪です。幼少は京都インターナショナルスクールに通い、その後大阪インターナショナルスクールに進学し、そこで国際バカロレアを取得しました。
日本においても国際的な環境に囲まれて育ったことは現在の私のアイデンティティーに大きな影響を与えたと思いますし、若い頃から世界中に旅をする機会を与えてくれました。
ロンドンの英国王立音楽院 (Royal Academy of Music)で勉強されたということですよね?
はい、ABRSM国際奨学生として英国王立音楽院で勉強させていただきました。そこの多文化な生徒構成の一部であるということには常に居心地の良さを感じていました。集中的な室内楽のリハーサルやランチ時の会話、色々なシチュエーションでの触れ合いの中で様々な思考を交換・共有できたということは、今でもそうですがとても楽しく有意義なことでした。
現在予定されているコンサートはありますか?
2015年4月12日にイタリア人ピアニストのダニエレ・リナルドと、ウィグモア・ホールでのデビュー・リサイタルです!リサイタルシリーズ大賞を受賞した末のデビューですので、カークマン・コンサート協会に感謝しています。
デビュー・リサイタルまでこれからまだまだ冷え込む時期ですが、チャイコフスキーコンチェルト、ヴァイオリンとヴィオラのためのアッターベルグ協奏曲、ベートーベントリオやブラームスピアノカルテットの全曲をアナーン弦楽トリオと、その上ダニエレとのリサイタルを含め活動予定は、有難い事に寒さも忘れるくらい途切れなく入っております。
詳細はホームページでご覧下さい。
www.LisaUeda.com/concerts.html
今まで受賞や出演等多々されていますが、特に何かお気に入りや思い出深い経験は?
大阪で関西フィルハーモニー管弦楽団と共演したチャイコフスキーのコンチェルトを演奏した時の印象が強く残っています。言葉ではとても伝えきれないほど多くのことを学びました。この経験はこれからも一生大事にしていくものだと思います。というのは、この作品を大阪のあの舞台で演奏するというのが幼少からの夢であったからなんです。
現代音楽作家のソロ作品の初演奏をさせていただくというのもとてもワクワクする体験ですね。古代に書かれたものとはまた違い、現代音楽を演奏するというのは作曲家が実際に筆を握ってから作品が完成し、その演奏にいたるまでのプロセスを垣間見ることができ、とても勉強になります。
タネル財団アワードの受賞者としてダニエレとツアーでスコットランドを回った時には、彼とはアーティストとしてのコラボレーションを一生続けるんだろうなぁ、その道のりはここからなんだろうなぁ、と思いました。このスコットランド・ツアーは、毎日色々な演目を弾く密接な協力活動を通して「これは何か特別なものになっていくのではないか」と深く実感する大きな機会となりました。
特に日本での公演予定というのはありますか?
はい、もちろんです!今は植田・リナルドデュオのアジアツアーを2015年冬に向けて準備中です。詳細についてはまだ触れることができませんが、追ってお知らせしていくので是非ご注目下さい!
日本はどのくらいの頻度で訪ねられていますか?日本では何が一番好きですか?
私はいつも、日本への「訪問」とは言わないように注意しています。その代わりに、私の故郷である日本へは「戻る」という表現を使うようにしています。今ではロンドンへも「戻る」という言葉を使えるように感じるように至りましたが。とにかく帰れる場所が二つあり、とても幸運だと思います。
あなたのバイオリンについて少し教えて下さい。
1596年のアマティー兄弟のバイオリンを、フィリッポ・プロターニバイオリンより貸与していただいております。このバイオリンはきらめきと雄弁さの両方を併せ持っています。どちらかというと女性っぽい響きを持っていますが、たまに男性的な逞しい音も出ます・・・!(笑)
将来的にアルバムへの録音等は考えられたことはありますか?
そうですね、いくつか練っているプランはあります。
日本で育ったということは、植田さんの音楽性に対してどの程度影響を与えていると感じますか?
私は日本人で、それは私のゆるぎない、変わらない一部ですが、私が演奏する音楽は主に欧米スタイルだと思います。日本人的・和風な音も出せますがそれは演奏する作品により変わってきます。その作品が日本の影響を受けている場合は勿論、そういった和風な音を取り入れます!そういった場合は私が日本で育ったということはとても役に立ちますね。(笑)
他には、、「尊敬」と「規律」は日本の伝統と深く結びついていますよね。そういったものを自分へ取り入れることにより舞台アーティストとしての成長へは大きな糧になりました。
日本の伝統工芸は植田さんにとってどういう意味を持っていますか?好きな日本の工芸品は何ですか?
頭に浮かぶのは「芸術性」と「細部へのこだわり」です。
日本の精神、日本人のメンタリティー、日本人特有の心遣いといったものすべてが優れた職人の技や美術作品といった形に凝縮されて現れていると思います。日本の芸術や工芸品に対して常に大きな敬意を抱いております。陶芸、書道、木工や着物の絹を取り込んだものにはつながりを感じてきました。私の場合、ヴァイオリニストというのもあるのでしょうが、特に木を使ったものに惹かれる傾向はあります!
最後に、特に日本の文化に興味を持たれている方へ何か伝えておきたいものはありますか?
日本各地方それぞれが特有の個性、「あじ」や独特のモノを持っています。日本を訪れる機会があれば、是非それぞれの地方出身の方とお散歩等をして、色々お話しできれば興味深い思い出ができるのではないかと思います。
できれば1、2ヶ月といった長めの滞在をし、日本にたっぷりと浸るというのがおすすめです。そうすれば日本の文化、風景や食べ物を吸収しながら素敵な時間を過ごせることは間違いなしです!
終わりに、ロンドンの英国王立音楽院 (Royal Academy of Music)へ、インタビュー場所を提供していただき有難うございました。