今回はインタビューよろしくお願いします。 まずは飯島さんの生い立ちを伺いたいのですが? 親の仕事の関係でインドネシアに幼少の頃住んでいました。父が映画好きでケーブルテレビのHBOで、よく映画を見ていました。その影響もあってか映画や英語が好きなっていきました。そして高校時代は演劇部に所属していたこともあり、イギリスで演劇を学びたいと留学をしました。ロンドンのキングストン大学でシェイクスピア含め舞台演劇を学びましたが、当初言葉の壁は大きいものでした。その為自然と言語に頼らない身体を使った表現が得意となり、興味と情熱もそちらに移りました。ですので、大学院は身体表現を専攻し、言葉以外の表現方法にも磨きをかけました。 イギリスで演劇を学んだことが、日本での演技活動に影響を及ぼしていると感じますか? 国が違うと求められるものも変わりますが、演技をする上で、日本での映像制作で何か大きく意識が変わるということは、あまり感じていません。ですが、イギリスにて演劇を学んだ事は、「演技」というものは何か、そして物事への柔軟な思考と想像力の大切さをより強くさせてくれました。私がイギリスで得た経験、学んだ事は、女優としても人としても私自身のベースになっています。 女優になろうと思ったきっかけは? 幼少の頃に父親の影響で、HBOチャンネルでよく映画を見ていました。そこで自然と映画や英語が好きになったのが一つの要因かもしれません。また高校の演劇部では大道具を主に制作していて、 大道具ですか?役者ではなく? はい、物を作ることが好きでした。もちろん演じることも好きでしたが、まだぼんやりと演劇が好きだと思っていました。 そして英語好きがこうじて、海外で通訳者か舞台を学びたいと思い始めました。進路を決める中で最終的に舞台をやりたいと思い、漠然とですが、演劇といえばイギリスが有名だと思いイギリスに留学を決意しました。 飯島さんのモデルとしての作品もいくつか拝見しましたが、その中でも水中で写真はとても驚きました。その撮影でなにか苦労されたことはありましたか? 水中でのポージングはとても大変でした。呼吸も続かないので酸素ボンベで直接酸素を吸引するのですが、初めての経験だったので、うまく吸えずパニックを起こしてしまったり、水の中での髪の毛や洋服の動きにも神経を注いだり、苦戦しました。ですが、とても良い経験を頂きました。 モデルや演技など幅広く活動されていますが、演じることとモデルをすることに違いを感じますか? 私は写真のみしかモデルの仕事はした事がありませんが、二つは全く違った職種です。表現の方向性や演技に対する重さ等、違いは多くあります。その中で、モデルの仕事をさせていただいて女優として私が学んだことは、どのように自分に自信を持たせるかです。特に女性として。モデルなので被写体として人を惹きつけるには、自分自身への自信が必要です。それは女優に繋がる部分でもあります。そしてその自信を、シャッター毎に一瞬で押し出す必要があります。他にもありますが、このような経験から学ぶ事は多くありました。 それでも学生時代の身体表現コースの中で「Devising」と言う、ストーリー等何もない空間から、イマジネーションと即興で場を作り上げていくやり方があり、どれだけ柔軟に物事を捉えアイデアを出せるか、自分の想像にリミットを設けないことが重要な練習でした。これは、少なからず表現者としてモデルにも応用できたと思います。 Sun Tailor のミュージックビデオ 「Fay」(2013)にご出演されていましたが、音楽ビデオのようにセリフのない演技に難しさなどは感じましたか? セリフがないのは、問題がありませんでした。台詞がない分、より繊細に監督の描く世界や雰囲気、ストーリーを描く事に集中しました。今回の作品は歌手がイスラエル人で監督はスペイン人、キャストは私と中国人の俳優とグローバルなスタッフで作りました。 この作品の後半あたりで、飯島さんは着物姿で筆で紙に何か書いておりましたが、監督はあの言葉になにか意図があったのでしょうか?あのシーンでは、飯島さんご自身で書いたのですか? 監督がリサーチして持ってきた西行の言葉だそうです。彼女の好きな言葉でした。それを私が作品の中で実際に書きました。習字はすごく久しぶりだったので、練習して少しでも綺麗な所作ができるようにしました。 The Sho Film production の「The worst yet the best day」の作品の中で、外国人の方が日本で住むことの難しさ、また一人のきっかけでガラりと状況が変わる素晴らしさを描かれていましたが、楽しんで挑めましたか?飯島さんにも同じような経験はありますか? 作品創りは楽しめました。国が違うと生活も大変ですが、ちょっとしたきっかけで救われることってあると思います。私もケンブリッジでファンデーションコースを受けたときに、渡英まもなかったので英語も喋れず、友達を作るのにも苦戦していました。ドラマコースも喋れないため難しく、また日本人は受身的な傾向もあるので、すごく苦しかったことを覚えています。でも、そんなときに食堂で、一人でご飯食べようとしたときに、「シュナこっちで一緒に食べよう」とクラスの子が言ってくれたときには、とても嬉しかったです。そんな何気ない一言ですが、その言葉に救われたと本当に思いました。(こちらはMetLife Alico主催のショートフィルムコンペティションで銅賞を頂いた作品になります。) 飯島さんの今後の活動などお知らせはありますか? Twitterをやっていますので、よかったらフォローお願いします! (https://twitter.com/ShunaIijima) またフェイスブックもあります。 facebook (https://www.facebook.com/pages/Shuna-Iijima-Actress/280247142014616) 演じるにあたって、心がけていることや役作りでしていることなどありましたら、教えて下さい。 スクリプトを何度も何度読み込み、役柄のバックグラウンドを想定し、台本に書かれていなその役柄の癖や仕草、生活習慣、生い立ちなどまで作り込んでいきます。またその役柄と私自身をミックスしていく作業をします。その役柄の中にも私と共通点があると思うため、その共通点を探しながら役作りをしています。 あとは、なるべく真実を追求しようとします。役柄やシーンに書いてあるからだけではなく、自分にとっても真実である、そんな演技です。 ここ最近の活動の中で、とっても素晴らしい経験をしたこと、また困難を感じたことを教えて下さい。 役者をやっていて、いろいろなことに興味を持つようになりました。特に人間に対する興味が強くなりました。この前ピーター・ブルックPeter Brookという演劇界の巨匠といわれる演出家と、その長年の創作パートナーであるマリー=エレーヌ・エティエンヌMarie-Hélène Etienneとで東京芸術劇場で「驚愕の谷」が上演されたときに、マリー=エレーヌ・エティエンヌが講師で行われたワークショップに参加しました。その舞台は人間の脳の神秘についてでした。じつは今読んでいる本も脳についての話なのですが、すごく面白いのです。このように、色々なことに興味を持つことが良いと思っていて、役者になってその意識がさらに高まりました。 女優として、よく難しく思う事は、他への対抗心です。自分にも長所があるのに、相手を羨んでしまう事が多々あるので、もっと自分を認めたうえで、他から吸収したいです。 Japanstore.jp は日本の伝統文化や工芸について海外に紹介していますが、なにか日本の中で興味のあることはありますか? 多国籍の中で舞台演技を学んできたこともあって、それぞれの国の考え方や文化の話はよくトピックになりました。もちろん日本の文化として、華道・茶道・武道・着物などいろいろとありますが、その技術を学ぶことは大切だと思っています。また、それ以上に精神面や考え方に磨きをかけたいと思います。日本人としてのアイデンティティーを強く持っていきたいです。学びたいものとしては「着付け」です。着物は日本人としての所作も学べますし、日本人女性として重要な要素だとおもっているので。 また日本はとても不思議な魅力をもっていると思います。よく海外の方から言われるのが、最先端をいく技術があるにもかかわらず、伝統など古いものにも愛をもって文化のバランスを保っていることが魅力的だと言われます。 […]